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Attractions / Attractions - EP

  • ARTICLE - No.51
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Posted by Keisuke Aratsu
POP1280

こんなにいい曲を書くバンドがなぜこんなに目立っていなかったのか、それは不思議で不思議で仕方ないことだけど、ひとつ言えることは2017年にこのEPを聞かなかったリスナーは確実に損をするという事だと思う。
そのビジュアルからsuchmosと比較される事もあるようだけど、音を聞けば両者の目指すサウンドの違いは明らかだし何よりAttractionsはよりフィジカルなバンド的なサウンドになっているのでここが聞いていて凄くしっくりくる。ベースとドラムがくっきり浮き出るサウンドは本当に心地いい。

曲が全部いい

EPのオープニングを飾るインストナンバー「intro」。これを聞かせる事が以降のトラックでリスナーに期待を持たせる効果を狙っているならそれは大成功だと思う。
エレクトロなトラックは広がりのあるサウンドスケープになっていて、自分たちがEPの中でどんな音を鳴らそうとしているか、それを証明するための十分なステートメントになっているし、それはこのEPを最後まで聞く事でリスナーの中で確信へと変わっていくと思う。
以降に続いていくトラックは全てメロディアスでキャッチーなナンバーで、全7曲25分という尺を感じさせない最高のソングライティングとサウンドで構成されている。個人的に注目しているナンバーはtr 4「Polyester Honey」やtr6「Escapist」で、懐の深さを感じさせるサウンドスケープは本当に若いバンドの曲なのかと思ってしまうし、この多幸感は本当にクセになってしまう。
先行リリースされていたKnock Awayのようなアッパーなナンバーはオーバーグラウンドに衝撃を与えるに十分なクオリティを秘めているし、聞き応えのある曲はアルバムやEPに必須なので当然といえば当然だけど、こんな雰囲気の曲もラインナップに入っているのがとても嬉しい。本当に好き。イギリスのバンドみたいなサウンドなので無条件に聞き入ってしまう。

ライブ感の強いサウンド

もうこれについてはとにか音源を聞いてもらうしかないけど、音作りがとてもいい。
全ての楽器が絶妙なバランスで引き立っていて、いい意味で混沌とした世界が出来上がっている。冒頭でも書いたようにベースとドラムがくっきりと浮き出るサウンドにはなっているものの、ギターとシンセも負けじと主張してくるので本当にバランスの取り方が上手いと思う。ミキシングに相当時間をかけたのか、それとも自分たちのスタイルをそっくりそのままレコーディングに持ち込んだのかは分からないけど、本当にいいサウンドに仕上がっているのでソングライティングと相まってEPのクオリティがとんでもない事になってると思う。
特にお気に入りなのはスネアの音で、タイトな渇いた音は特徴の一つと言っていいはず。曲によって音を使い分けてるのも嬉しい。キックの太さもベースと良く絡んでいてずっしりとした重心のリズムが曲の土台としていい働きをしている。
さらにいいなと思っているのはギターの音で、(いわゆる)一般的に呼ばれるロックとはくくれない曲の中でゴリゴリのディストーションも聞かせてくれるし、リフのメロディアスさも注目すべきポイントの一つだと思う。Knock Awayのギターソロのメロディは本当にいい。

テクニックだけに重点を置いていない

これ個人的にはとても大事で、聞けば上手いことは十分に感じるんだけど、それ以上に感性を大事にして曲を作っている事がヒシヒシと伝わってきてこれがとても嬉しい。インディーだからできる事なのかもしれない。
個人的な意見だけど、日本のバンドはどうしてもテクニックに重点を置いているように感じてしまい、自分たちだけの曲を書いていると思えない事が良くある。
バンドには自分たちにしか書けない曲を書いてほしいし、聞く人の感情を動かすものを作ってほしい。New orderのバーニーが言う、楽器の練習に時間を割くぐらいなら自分たちの曲を書くために時間を割いたほうがいい、という名言はその通りだと思う。
その点Attractionsはギターを早く弾く事もしない、やたら細かくベースのフレーズを弾く事もしない、やたらめったらフィルをいれる事もしないし、そこから確固たるスタンスが見えてきて、その潔さがあるからこそこんなに気持ち良く聞けるんだと思う。
(俺たちこんなに上手く弾けるんだぜ、みたいなナルシズムがない)
何回最高と言っても足りないくらいに最高である。

福岡から出てきてくれたのが嬉しい

もの凄く東京的なアーバンなサウンドにも関わらず、一地方都市である福岡からこんなバンドが出てきてくれたのが驚きでありとても嬉しい。
絶対に売れると思ってるのでこれからも頑張ってほしいし、アルバムを出すときは是非LPもお願いしたい。
こんなにいい曲書いてて売れなかったらどうやったら売れるか知りたいレベルなので一度だけでもいいから是非聞いてもらいたいです。やみつきになる何かがここにある。個人的には2017年で一番いい音源になるかも。

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ABOUT ME_

アラツ ケイスケ :
福岡県糟屋郡志免町在住。畑で野菜を育てて生きていきたいwebデザイナー。嫌いなものはクチャラー。1984年10月生まれ。昨年三十路デビューしました。音楽とB級映画をこよなく愛す一面、垂れ流すだけで何を聞いたか観たのか全く記憶にないこともしばしば。(大抵寝落ちしてるか、本を読んでます。)
このブログでは自分が書きたい音楽の事やデザインの事、福岡の事を好きなように書いて行くつもりです。記事掲載のご相談も受け付けますのでどうぞお気軽に。随時受け付けます。僕がバテあがってたらお返事までお時間掛かると思いますが悪しからず。

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