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MUSIC

何故Joy Divisionは今でもかっこいいのか

  • ARTICLE - No.17
  • issue-2015.5.22   
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Posted by Keisuke Aratsu
POP1280

今週月曜日は亡きイアンの誕生日だった。今まで何度ブルー・マンデーを聞いて来たか分からないし、何度イアンの声を聞いてきたかも分からない。僕にとってJoy Divisionは最高に特別なバンドなのでJoy Division最高!な記事を書きたいと思いました。なので書きます。

僕がJoy Divisionに出会ったのは高校を卒業したばかりの18歳の頃だった。高校の先生にNew Orderを聞け、と言われて気に入って聞いていたら、いつかJoy Divisionも聞いた方がいいと言われたのを今でも良く覚えている。ちなみに当時聞いていたNew OrderのアルバムはGet Readyだった。
そして高校を卒業して上京した頃、ちょうどマンチェスターのレーベル、Factory Recordsの回顧録的映画「24 hour party people」が公開になったこともあり、まだ聞いてなかったJoy Divisionを聞かねばと思いPermanentを買ったのは最高の選択だった。

いまでも色褪せない衝撃

という訳で僕が初めて聞いた曲はLove Will Tear Us Apartだった。Joy Divisionが初めてのポストパンク体験では無かったけど、初めて聞いた時の衝撃はもう忘れがたいものだった。
同じフレーズを繰り返しているだけのはずなのに何でこんなにかっこいいんだ!となったのをいまでも思い出す。
特にベースは衝撃的で、今までこんな高音ベースなんか聞いた事ないし、歌メロと同じだしこれは一体どういう事なんだ???
とか考えつつ、声もめちゃくちゃ低くて暗い感じなのになんでこんなにキャッチーでかっこいいんだ???って感じでずっと?マークが頭の中を駆け巡っていた。簡単に言うとそれまで聞いた事のない音楽だったから完全に意味不明だった。
Transmissionもただひたすら同じ展開を繰り返しているだけなのに、なんでこんなに熱量があって耳から離れないんだと思ってしばらく聞くのをやめられなくて、それくらいに衝撃的でかっこいいと思ってしまった。
そのあとズブズブとその魅力にはまってしまい、ブート盤やDVD、BOXセット、デボラ・カーティス著「Touching From A Distance」など、Joy Divisionに関係するものはとことん集めて聞きあさったりしたし、公式ドキュメンタリー「Joy Division」も観たし、「コントロール」も観た。

高音ベースの秘密

ちょっと寄り道だけどLove Will Tear Us ApartやShe’s Lost Controlに代表されるフッキーの高音ベース、これは完全に偶発的な産物だったらしく、ある日スタジオに入って全員で音を出した所、ベースは低音なので完全に音が聞こえず、それを解消するためにフッキーが高音ポジションで弾き始めたのがきっかけだったとか。
この理由を聞いた時はあまりの適当さに思わず笑ってしまったけどこれがJoy Divisionの特徴になってしまったんだから全く恐れ入る、の一言である。

何で今でもこんなにかっこいいのか

ようやく本題だけど、これは結局の所答えは1つだと思っている。
それは「Joy Division」がまぎれもなく誰にも真似できないオリジナリティを持ったバンドだからだ。
イアンの低くて特徴のある声、バーニーのメロディアスなギター、フッキーのベース、スティーブンのタイトなドラム、どれをとっても文句が無いくらいに研ぎすまされている。最高にラジカルでクールである。
これはきっとパンクの熱に触発されたバンドが自分たちだけの音楽を作りたい、と心底情熱を傾けた結果だと思う。

それが、80年代というアナログとデジタルの狭間で、パンクの熱と無機質な電子音楽の波の間に立った連中が生み出した答えがJoy Divisionというバンドとして形になった。
これがデビューして40年近く経ったいまでも世界中で愛されるバンドになった理由だと思う。
ただし、本当にヘタクソだったしマーティン・ハネットがいなければ大名盤Unknown Preasuresは産み落とされなかったとも思う。
でも、このヘタクソっていうのはとても大事な事で、楽器を持った事がなくて、ベースやギターのネックにルートを書き込んでしまうような素人でも世界を変える事ができるという1つの証明になった。

これがJoy Divisionの超素晴らしいところであると思っている。ライブ盤を聞くとイントロでいきなり間違えて勝手にやり直したりするし、そもそも違うフレットを押さえて全然違う音を出したりするし、聞いたら一発でヘタクソなのが分かってしまうそんな素敵なバンドなのである。
だけどライブはエネルギーに満ちていて、最低の要素だけで成立させた楽曲はどれもミニマルでエキサイティングに聞こえて、これはとんでも無いバンドを目撃してしまった、と思わせてしまうのには十分すぎる程の説得力を持っている。
だからJoy Divisionは最高なんだと思う。だれにも出来そうに聞こえてしまうのにこのマンチェスターの4人組以外には誰にもできない、そしてデビューから40年近く立った今でも変わらない、そんな音楽を作ってしまった。だからJoy Divisionは最高にかっこいいのである。

僕はデビュー当時をリアルタイムで体験していないからなんとも言えないけど、彼らのデビュー盤、Unknown Preasuresにレコードの針を落としてDisorderが再生された時の気分はどんな感じだったんだろう。
Joy Divisionを聞いていたリスナーが感じていたスリルとか興奮をリアルタイムで体感したかった。当時はレコードだったから皆レコードショップで買った(もしくはフッキーみたいに盗んだ)レコードを自宅でドキドキしながら再生したんだろう。

そんな訳でJoy Divisionが好きすぎるのでトップ10の発表。

Best Of Joy Division

1. Disorder
2. Love Will Tear Us Apart
3. Transmission
4. Ceremony
5. Atmosphere
6. Decades
7. New Dawn Fades
8. Shadowplay
9. Atrocity Exhibition
10. Digital

です。
まだいい曲はたくさんあるけどTop10にするならこの10曲。最高だぜ。

Joy Divisionはイアンの事もあり、スタジオアルバムを2枚しか残せなかった短命なバンドだったけどまだイアンが生きていたらバンドは続いていたのかな、なんていう疑問もある。
そもそもNew Orderがこんなに長く続いたのも、「これはイアンとの友情の証なんだよね」なんて事を前にフッキーが言っていたからだと思う。
だったらどっちにしろどこかでバンドは解散して4人はバラバラになっていたのかも知れないと考えると複雑な気持にもなる。
だけどイアンが在籍したバンドが素晴らしい曲をこの世に残していってくれた事はまぎれもない事実なのでこれからもずっと聞き続けたいと思う。

労働者階級でありながらアートを好み、デビッド・ボウイに憧れたソウルボーイ、イアン・カーティスの命日は来年もまたやってくる。
その頃にはフッキーとNew Orderが仲直りしてまた新しいアルバムをリリースしてくれたらいいのになぁ、なんて思う。
お小遣い稼ぎに付き合うから是非ともそうしてもらいたい。いち日本のファンとして宜しくお願いします。

最後にJoy Divisionで一番好きな曲、Disorderを。

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アラツ ケイスケ :
福岡県糟屋郡志免町在住。畑で野菜を育てて生きていきたいwebデザイナー。嫌いなものはクチャラー。1984年10月生まれ。昨年三十路デビューしました。音楽とB級映画をこよなく愛す一面、垂れ流すだけで何を聞いたか観たのか全く記憶にないこともしばしば。(大抵寝落ちしてるか、本を読んでます。)
このブログでは自分が書きたい音楽の事やデザインの事、福岡の事を好きなように書いて行くつもりです。記事掲載のご相談も受け付けますのでどうぞお気軽に。随時受け付けます。僕がバテあがってたらお返事までお時間掛かると思いますが悪しからず。

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